霖のあと

詩置場

名前の主

繰り返す夏と秋と冬と春の中で

繰り返す日の出と日の入りの中で

記憶の糸を解いて

名前を呼んだ

 

信仰の声色は色褪せ

乾いた習慣を抱いた

名前を呼ぶたび

名前の主の不在を知る

 

傷跡は触ると治らないから

ずっと残しておきたければ

絶えず触っているがよい

 

記憶とも判別しかねる

記憶を撫で

なお名前を呼ぶ